そもそもウェーブレット変換とは?〜その2〜

1.前回の内容(この記事は、「そもそもウェーブレット変換とは?〜その1〜」を受けて書いています。)

「そもそもウェーブレット変換とは?〜その1〜」では、ウェーブレット変換を用いようと思った理由と、連続と離散の応用のされ方のおおまかな違いについて説明した。今回から、連続ウェーブレット変換について説明していく。

 

2.連続ウェーブレット変換

 マザーウェーブレットと呼ばれる基本となる関数を拡大、縮小、シフトすることで、信号の周波数と時間の解析を行う方法である。

このマザーウェーブレットには特徴がある。

 

2-1.マザーウェーブレット

ここで、フーリエ変換について少し復習する。フーリエ変換は、信号をサイン波とコサイン波に分解して、解析する方法であった。ある周波数のサイン波を、どれほどの含んでいるかを考えていた。

一方で、ウェーブレット変換は、三角関数ではなく、別の関数(マザーウェーブレット)である。

マザーウェーブレットとそのフーリエ変換

 

ψ(t)

 

\hat{ψ}(ω)

 

としたとき、以下の条件を満たす。

  

\int_{-∞}^∞ |{ψ(t)}|^2 dt < ∞\tag{1}

 

\int_{-∞}^∞ \frac{|\hat{ψ}(ω)|^2}{ω} dω  < 0\tag{2}

 

\int_{-∞}^∞ ψ(t) dt  = 0\tag{2’}

 

式1は、「ψ(t)は、有限のエネルギーを持つ」ということである。

また、式2は、アドミッシブル条件と言われるものであり、式2’はその代用として使用される場合がある。式2が示していることは、

 

\hat{ψ}(0) = 0

 

である。つまり、ψ(t)はゼロの周波数成分を持たない。

 

 

これはすなわち、

・遠くでは0に近づく = 局在している (∵ 式1の有限値であるという条件)

・おおざっぱにみれば波のような形をしている (∵式2、2’から、正と負の面積が等しいという条件)

具体的に見ていく。マザーウェーブレットの代表的な例として、Morlet関数を用いる。式は

 

ψ(t) = \frac{1}{2\sqrt{π}σ}\exp(-\frac{t^2}{σ^2})\exp(-it) \tag{3}

 

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である。

 

次回は、このマザーウェーブレットを拡大、縮小、シフトするパラメータについて説明する。